「ひょうごの木」を考える Vol.03
命を感じさせる存在
ー木にしかない特徴ー
「出来上がったものから過去を思う、それは“木”ならでは」(服部真俊)
有田佳浩「人類がこれまで培ってきた、命に対する何とも言えない想い、恐れみたいなところを感じさせてくれるのが、木。金属でもなく、プラスチックでもなく、木なのかなと思います」
服部真俊「弊社は町の製材所で、街路樹や庭木の製材なんかもさせていただくんですが。それが机とか、生活の道具に変わっていく中で、生えていた頃の木の姿を思い出すことがあります。そういうものは決してプラスチックでは出てこないかなと。例えば兵庫県産材で家を建てて、家主さんが森林に思い馳せるとか。“出来上がったものから過去を思うことがある”、っていうのが、やっぱり木ならではなのかなと考えています」
「木で“もの”が出来る過程を一緒に体験していく」(松崎裕太)
松崎裕太「最近、僕は『木育』というものに力を入れています。保育園さんなどでワークショップをする際に、完成しているものをそのまま与えるのではなく、子どもたちとお箸を作ったり、園庭整備をしたり、ものが出来る過程を一緒に体験しているんですけど。そういうときに木は柔らかいので、数十円で買える紙やすりだけあれば、子供たちが加工することができるんですね。しかも削ったら形が変わるとか、においが出るとか、いろんなことが五感として感じ取れる面白さがあって。なんだかちょっと命を感じるというか、生きている感じがしますよね。お箸なんかがわかりやすいんですけれど、ただの棒からスタートして、やすりで削って、オイルで仕上げて完成させる。それと併せて、子供たちにメンテナンスの仕方も教えるんです。そこまでやっておくと、次の年になってからその子たちに『あのお箸は今使ってる?どうしてる?』と聞いたとき、毎日使っている子がいたり、お寿司を食べるとき専用の箸にしていたり、結構大事にしてくれてる。やっぱり買ったものとは違うものになっているっていうところが、ちょっと面白い部分かなぁと」
「朽ち、無くなる。それがポート(拠り所)になる」(中務朋子)
中務朋子「建築会社の人間としては、あまり言ってはあかんのかもしれないですけど。私個人が昔からすごく思っている木のよさ──というのは、“朽ちていく”、“腐っていく”部分……なんです。あと、木は燃えますよね。木は、ごみにならないっていうのがものすごくいいところだと思っています。本当は建物などは朽ちないようにしなければいけないんですけれども。ただやっぱり、朽ちて、無くなって、ごみにならないものを使う。それってすごく自分のポート(拠り所)だな、と思います」
有田佳浩「また、“命”という観点を感じさせるお話でしたね」
服部真俊 神戸市沿岸部で唯一残った製材所を継ぐ(株)三栄の取締役
松崎裕太 木育インストラクターで木製玩具等を販売する(株)松崎の取締役
中務明子 木と自然素材にこだわった家づくり(株)宮下社員
有田佳浩 多くの企業の広報制作にも関わっている県広報プロデューサー
- 「ひょうごの木」を考える https://hyogo-no-ki.jp/column/creation-base-vol-0/