ひょうごの木の森の風景 

「ひょうごの木」ってなに?

「ひょうごの木」とは、兵庫県の森林に生育する樹木、
そこから生産される丸太や木材などの総称です。

兵庫県は、県土面積の約67%が森林に覆われており、樹木が生長することにより毎年約1,260千㎥(H27~R2の平均)も体積が増加しています。成長した樹木を伐採して利用し、その後の植栽までを適切に行うことで、持続可能な木材活用が可能になります。また身近にある「ひょうごの木」を使うことで、各地域の森林保全や二酸化炭素の排出量削減などにもつながります。

  1. 01木を伐ることは環境に悪い?

    世界全体として森林面積は減り続けています。主にアフリカや南米などで熱帯雨林が減少しており、その7割以上が農地の開拓に起因しています。一方、日本の森林面積はここ数十年ほぼ変わっておらず、むしろ樹木が年々成長することで樹木の体積は増加しています。手入れされずに成長した森林は、森林としての働きも弱くなることから、樹木を伐採して利用していくことが重要です。

    兵庫県民有林資源の推移(蓄積)
  2. 02木を伐らないとどうなるの?

    森林では樹木が土に深く根を張り、土の表面に草木が生えることで、土砂の流出を防いでいます。森林も農作物と同様に、間伐(木を間引くこと)などの手入れをしないと、密集して細長い木ばかりになります。すると、根は十分に発達せず、森林の中も暗く草木が生えないため、土砂災害を防止したり、水を蓄えたりする働きが低下し、災害に弱い森林になってしまいます。

    働きが低下した状態

    健全な状態

  3. 03森林がおいしい水を生み出している?

    手入れされた森林の土は、スポンジのように小さな隙間が多くあります。森林に降り注いだ雨は、このスポンジ状の土に蓄えられ、ゆっくり時間をかけて流れ出ます。こうして、大雨が降っても雨水が急激に川に流れ込むことなく、雨が降らない日にも川に水が提供されます。そして、雨水は土の中を流れる間に、濁りがなくなり、適度なミネラルを含んだおいしい水になります。

  4. 04森林は地球温暖化を防いでいる?

    森林は、地球温暖化の原因であるCO2を吸収することで、地球温暖化の防止に貢献しています。森林のCO2吸収量は、樹木を伐採したあとに植栽したり、間伐をしたりすることで、より多くなります。また、森林から生み出された木材を住宅やビルに使うことで、CO2を空気中に放出することなく、都市の中に留めることができます。建物にたくさんの木材を使った都市は、第2の森林とも呼ばれます。

  5. 05森林が生き物の多様性を守っている?

    森林は、多くの野生動物が生息する場となっています。特に里山林では、薪・木炭などの材料として使うために、昔から草刈りや樹木の伐採がされていたことで、明るい環境が保たれており、特有の動植物(モリアオガエル、オオムラサキなど)が生息しています。また、森林から流れ出る水には養分が含まれており、海に住む魚などの生息と繁殖を助けています。

  6. 06木製品はプラスチックより環境にいい?

    日本では、廃棄されるプラスチックの20%程度を海外に輸出してリサイクルしていますが、その一部が不適切に扱われて海洋に流れ出ることで、海洋汚染を引き起こしています。一方、木材は自然界に流出したとしても一定期間で分解され、生態系に影響しません。また、プラスチックは焼却するとCO2が発生しますが、木材はカーボンニュートラルなので、焼却しても空気中のCO2濃度に影響しません。

  7. 07そもそもカーボンニュートラルってなに?

    木材も燃やすとCO2が発生しますが、伐採後に再び樹木を植えることで、その樹木がCO2を吸収します。間伐を行った場合も、残された樹木がより大きくなることで、CO2を吸収します。このように、木材を燃やして発生したCO2と森林が吸収したCO2が相殺され、大気中のCO2濃度に影響を与えないことをカーボンニュートラルといいます。

  8. 08「ひょうごの木」を使うメリット

    木製品の製造時には、輸送距離も重要です。木材をトラックや貨物船によって運ぶ際には、CO2が排出されます。例えば、ロシアから丸太を購入するより、国内で購入したほうが、CO2の排出量を35%抑えられた研究結果もあります。また、兵庫県には森林が豊富にあります(人工林面積 全国8位)。その森林を活用して林業を振興することで、県内の森林の手入れが進み、経済活動も活性化できます。

    合板製造における輸送プロセスごとのCO2排出量の比較
  9. 09森林と特産物の意外な関係

    兵庫県は、北は日本海に面し、南は瀬戸内海から太平洋へと続いています。明石の真鯛や香住のズワイガニなどは、兵庫県を取り囲む豊かな海の恵みです。また、六甲山の麓に位置する灘の酒といった日本酒づくりには、良質な水が欠かせません。手入れされた森林は、海に住む魚の生息や繁殖を助けたり、良質な水を生み出したりしています。しかし、兵庫県でも放置された森林が多くなっています。兵庫県の豊かな海や良質な水を守るためにも、「ひょうごの木」を使うことが大切です。

  10. 10私たちが普段の生活でできること

    私たちの暮らしの中で「ひょうごの木」を使うことが、兵庫県の森林保全につながっています。ぜひ普段の生活に「ひょうごの木」を取り入れてみてください。

    • □ 子どものおもちゃや日用品を、
      プラスチック製から木製に替えてみる。
    • □ 「ひょうごの木」で作った家具を買ってみる。
    • □ 家を建てるときに、「ひょうごの木」を使ってみる。
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