2025.08.22

「ひょうごの木」を考える Vol.02

 「ひょうごの木」を考える Vol.02 

木だからこその幸福感ってなんだ

ー木と他の素材の違いー

「プラスチックがあるから、木のよさが引き立つ」(髙山祐輔)

有田佳浩「鉄やプラスチックではなく、“木”だからこその幸福感や面白さってなんだ、という点について話していただけたらと思います」

髙山祐輔「木のよさっていうのは、きっと『五感』に伝わるところなので、ちっちゃい頃だと舐めたりもするんですね。すると、カヤの木ならカヤの木の味、ケヤキならケヤキの味がして、それぞれ違うんです。僕たちは0~1才のお子様用に積み木などを作っているのですが。保育園に行くと、積み木の形(動物の種類など)ではなく、味やにおいで子どもたちの好きな積み木が決まっていることが結構あります。そういうのがすごく面白いなと思うんですけど、逆に、プラスチックのおもちゃがないとそこには気づけない。うちの創業者はもともと保育士で、約40年前、保育園にプラスチックのおもちゃが溢れていたから、我が子には木のおもちゃを作りたいと思い会社を立ち上げたんです。プラスチックのおもちゃがあるから、木のおもちゃの何かが引き立つ、良さに気づく。そういう視点を忘れないようにはしようとしています」

山下孝平「木のよさについて、鉄や他の素材と比べて相対的にいいなって思えるようになるのって、ある程度いろんな素材に触れた大人になってからだったりするんですよね。まさにプラスチックや鉄があるからこそ、きっと木のよさ、深みを発見できる」

「怒りが敏感に出やすい性質だった」(山下孝平)

山下孝平「僕、木を触ってないと1週間ぐらいで結構荒むんです。心が。感情の起伏がすごく激しくなったりします。特に怒りっていうものが敏感に出やすい性質なのかなと思っていて、その怒りみたいなものをコントロールするのが非常に難しいなっていう人生だったんですね、今まで。でも木に触れるようになってから、そういう感情が出なくなってきたといいますか。心が安定していることを、妻や仲間に言われて気づいて。僕、元々鉄の足場を組む鳶のような職もやったことがあるんですけど。あのときに感じていた、鉄の呼吸というか、それが木とはまるで違う触り方をしないといけないもので。思い返せばその業界にいる人たちは、血の気の多い、怒りっぽい方が多かったんです。木に触れるようになって出会った人たちは、心が安らかな人たちが多いような気がしています。この感覚は、木に触れている人たちに結構共通するんじゃないのかなと感じているところです」

「DNAに憧れや安心が刻まれている?」(有田佳浩)

有田佳浩「たとえば皆さんが今座っている、この合板に木目を印刷したシートを張った、机やビニール椅子。木を扱っている皆さんが日常生活でこういったものに出会うと、どう感じますか」

服部真俊「自分自身、こういったものも売っています」


松崎裕太「僕もこういう材料を扱っていて。こういう印刷紙ってわざわざ木目に印刷してるんですよ」

有田佳浩「うん。木を表現しようとして。わざわざそうするのは、何かDNAに憧れみたいなものが刻まれていたり、安心する感じがあったりするんでしょうか」

松崎裕太「わからないですけど、でも、ヨーロッパでも一緒なんですよ。ヨーロッパでも、日本でも、この化粧材は木目なんですよ、ほとんど。それは不思議やなと」

高山祐輔  木のおもちゃ・こども家具(株)なかよしライブラリー社員

山下孝平  木製テントhitotoを製造販売する(同)大山井の代表取締役

服部真俊  神戸市沿岸部で唯一残った製材所を継ぐ(株)三栄の取締役

松崎裕太  木育インストラクターで木製玩具等を販売する(株)松崎の取締役

有田佳浩  多くの企業の広報制作にも関わっている県広報プロデューサー

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