2023.03.30

近くにあるものを、当たり前に使いたい

REPORT01
兵庫の「木」と「樹」をめぐるストーリー

「つながり」から生まれる地域材の活用。
共通の想いを持ちながら、
それぞれの生業で「森林との関わり」を考える

 もともと林業が盛んでない淡路島では、手入れされていない森林で木が育ち、伐採した木も活用されないまま処分されることも多い。山師の新庄道は、山に入り、木を伐るうちに目の当たりにしたそんな状況に、「もったいない」と次第に関心を持つようになる。

 一方、「淡路島の素材で家を建てる」ことに取り組んでいた建築士の平松克啓。材木を探していると「淡路島の木を活かそう」という想いの人たちと出会う。そのひとりが新庄だった。「各々の仕事の領域で淡路島の森林と関わる人とつながっていきたい」と、「=地の(地元の)」という意味を込めた「JINO PROJECT」という名前を付け、その輪を広げる取り組みを始めた。

ヒラマツグミ一級建築士事務所で保管され、使われる機会を待つ地域の伐採木。

 

 メンバーのひとり、木工家の北島庸行は、ライフワークとして近所の雑木を使った作品づくり「チカバノゾウキ」を日々の制作の傍ら行う。「伐られたままの丸太から関わる制作は、発想の志向が全く違っていて面白い」と話し、「伐採などの山仕事をする人と制作者がつながると、普通は使われない色々な形の材に、制作者の目線が入って利用価値が広がる」とその意義を見出す。

樹々に囲まれた工房「アトリエKIKA」での木工家・北島 庸行

 「昔は先代が植えた木を切って家を建てたという淡路島には、〝近くにあるものを当たり前に使いたい〞という想いがある。そこには世代を超えた物語も生まれる。現在は林業のサイクルをどう作るか模索中だが、同じ想いを持つ人とつながり、森林との新しい関わり方を見つけられたら」と話すメンバーたち。歩みを進めながら、森との関わりを考え続けている。

「淡路島の家」で使われた淡路ヒノキの端材で作った鉛筆や淡路島で伐採された木で作った器などの木工作品。
(ヒラマツグミ一級建築士事務所のギャラリーにて)
洲本市による景観整備のための伐採で開けた大阪湾を望む景色を前に、
一級建築士の平松 克啓(左)、林業家の新庄 道(中)、木工家の北島 庸行(右)

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